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夜、からだが水を精算している

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夜、からだが水を精算している

夜、からだが水を精算している

2026/08/07

前回、昼のあいだ下半身に溜まっていく水の話をしました。

 

出しているのに、溜まっている。あの重さ。

 

では、下半身に置き去りになったあの水は、 そのまま溜まりっぱなしなのかというと、

そうではなくて 夜、ちゃんと精算されています。

 

飲んだ量より、尿が多い

 

夏の夜、汗をかく。

 

なのに、朝までに出る尿は、その夜に飲んだ量より、なんだか多い気がする。

 

これ、気のせいではないんです。

多くて、正しい。

 

昼のあいだ、立って過ごすと、水は下半身に溜まっていく。

 

ところが夜、横になると、下に置き去りだった水が、重力から解かれて、

一気に体の中心の胸のほうへ還ってきます。

 

「溜め込む」から、「出していい」へ

 

巡ってきた水を、心臓のあたりが感じ取ります。

 

あれ、水が増えた。

 

すると心臓から、「出していい」という合図のホルモンが出る。

同時に、昼のあいだ働いていた「溜めておけ」の指令、

水と塩を体に残そうとするホルモンが、夜はゆるみます。

 

溜め込みのブレーキが外れて、尿を出していいのアクセルが踏まれる。

だから腎臓が、せっせと尿をつくる。

 

つまり夜の尿は、その夜に飲んだ水の精算じゃなくて、

昼にむくんで、下に溜め込んだぶんの「回収」なんです。

 

それに、もうひとつ。

 

食べたものを体が燃やすと、その過程で、水が生まれます。

 

飲んでいないのに、体の中で作られる水。

一日を通して、全部で コップ一杯半くらい。

 

そのうちの一部が、夜の尿にも混ざっています。

だから夜に出ていく水は、その夜に飲んだ水だけじゃない。

 

昼からの持ち越しと、体が作った水が、合流したもの。

 

昼は散らし、夜はさばく

 

昔から伝わる体の見方でも、これはきれいに説明がつきます。

 

昼は、からだを動かす力(陽の気)が体の表面を巡って、毛穴を開き、水を汗として外へ散らす。

夜になると、その力が、体の内側へと収まっていく。

 

水をさばく舞台が、 外(汗)から、内(尿)へ移ります。

 

だから夜、還ってきた水が体の奥に集まって、そこでゆっくりと変化して、尿になっていく。

昼は表で散らし、夜は内でさばく。

 

同じ水を、時間帯で、別の道に流している。

 

水をさばく、奥の力

 

この「夜、内でさばく」をいちばん奥で支えているのが、腎(じん) の力です。

 

腎は、体の水の巡りの、大もとを司るところ。

 

昼に溜まった水を夜に巡らせて変化させて、外へ出す。

その一連を、静かに回しています。

 

そして、この腎と関わりが深い味が、塩からい味です。

 

昔から、腎は塩の味と、ひとつながりに考えられてきました。

 

塩からい味、鹹(かん)と呼ばれる味です。

その塩は、水を動かすほうにも、溜め込むほうにも働きます。

 

お肉やお魚に塩をふると、少ししてから水が出てきますよね。

余分な水がぬけて、身が締まって、くさみも和らぐ。

 

塩には、水を引き出して動かす力がある。

 

さっきの「溜めておけ」のホルモンも、塩(ナトリウム)を軸に、水を体に残していましたよね。

 

引き出すほうにも、抱えこむほうにも働く。

 

水をさばく腎と、水を左右する塩。

 

古代の人が、舌で確かめた味から「塩・腎・水」を一本の線でつないでいた。

 

それが、今わかっている体のしくみと、同じ場所を指しています。

 

ちなみに、混乱しやすいのですが、

東洋でいう「腎」は、尿をつくるあの腎臓と、ぴったり同じではありません。

 

臓器のひとつというより、水の巡りや、生命力の源まで含んだ、もっと広い働きの名前。

 

二千年の時を越えて、同じひとつのことを、違う言葉で言っていたことになります。

 

揺れやすい季節

 

 汗で塩が抜ける夏は、この水のさばきが、揺れやすい季節です。

 

塩を足せばいい、減らせばいい、という単純な話ではなくて。

足りなくても、多すぎても、水は乱れる。

 

そのあわいを体はいつも、探っています。

 

奥の力がすこし疲れているときほど、昼は下に溜まりやすく、夜はその回収に忙しくなる。

 

夏の夜の尿の多さは、体が昼の疲れを片づけている姿でもあります。

 

出しているのに、溜まる。

溜まったのに、夜、巡って出ていく。

 

矛盾しているように見えて、昼と夜で、散らすとさばくを回している。

 

夜、トイレに起きたとき。

飲んだ量より多いな、と感じたとき。

 

それは、あなたの体が、昼のあいだ抱えた重さを、夜のうちに片づけているところ。

そう思えたら、夜中の目覚めも、とらえ方が変わってきますよね。

 

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